2022年5月26日夜、岸田首相が都内で講演を行いました。
そこで政府の大きな政策転換が2つ発表されました。
1つ目は、6月1日から1日あたりの入国者数の上限を現在の1万人から2万人に引き上げる(観光目的の入国も含む)こと。
2つ目は、6月10日から外国人旅行客の受け入れを再開することです。
入国の対象は新型コロナの陽性率による区分けで最もリスクの低いとされるアメリカや韓国、中国など98の国と地域が対象になり、感染拡大を防ぐため当面、添乗員付きのツアー客に限定するとのことですが、これによる年換算の追加経済効果は8.1兆円に上るのではないかと試算されています。
これは正常化への大きな一歩だと思います。
新型コロナで大きな打撃を受けた観光業や地域経済の回復につながることが期待される一方で、感染の再拡大を懸念する声や、訪日旅行客数が年間3000万人を超えていたコロナ前に戻るには時間がかかるとの指摘の声も上がっています。
そんな今回のインバウンド再開ですが、僕はコロナ前とは大きく変わったことが3つあると思っています。
今回のブログでは、その大きな変化についてお伝えをしながら、僕の考える『コロナ後のインバウンド像』もお伝えできたらと考えています。
【コロナ前との違い①】円安の進行

コロナが始まったころはドル円為替が108円程度でした。
ですが現在は約127円。
実に20円近く円安が進んでいることになります。
この円安の進行により、日本へ旅行する費用が安くて済みます。
なので、外国人旅行客を呼び込むための大きなプラス要素になります。
コロナ前2019年の訪日外国人旅行客平均消費額は、15.9万円でした。
これを当時のレート(1ドル=108円)で換算すると、1,472ドルになります。
では、現在のレート(1ドル=127円)で換算すると、何ドルになるのでしょうか?
答えは、1,252ドル。
要するに外国人旅行客のドルベースでの消費金額が減っても、日本円ベースでは変わらないということ。
もし、2019年と同じように外国人旅行客が平均で1,472ドルを消費してくれたと仮定すると、円ベースでの消費金額は18.7万円。
なんと2.8万円も増える計算になります。
コロナ前のように年間3000万人が日本を訪れると仮定すると、円安になったことによる経済効果は8400億円に上ります。
苦しんでいるホテルや旅館、観光地にとっては大きな追い風になることが期待されます。
【コロナ前との違い②】観光魅力度ランキング

1位に選ばれるのは初めてのことになります。
このランキングは、112の評価項目をもとにランキングしているのですが、日本の評価が高かった項目は、
・大型競技場の数
・殺人発生率の低さ
・モバイル端末普及率
・世界文化遺産の数
・無形文化遺産の数
・観光に関する検索数
などです。
そんな中、最も高い評価を受けたのが、『交通インフラ』。
この項目においては、元々日本の評価は高かったのですが、近年、
・多言語表記が進んだこと
・外国人用のSuicaやPASMOができ、切符を買う必要がなくなったこと
を受け、日本の交通インフラは旅行客から今や世界最高の評価を受けています。
【コロナ前との違い③】中国人旅行客の減少

コロナ前2019年には、約3,188万人の外国人旅行客が日本を訪れ、そのうちの約30%にあたる959万人が中国人旅行客でした。
また、旅行消費額を調べてみると、外国人旅行客は全体の34%を占めています。
ですが、その中国人旅行客はすぐに戻りそうにありません。
その原因は中国政府による過剰なまでのコロナ対策です。
中国最大の都市である上海を例にとってみると、4月・5月の2ヵ月間上海はロックダウン(都市封鎖)されていました。
その影響は、甚大なるもので、以下のような影響がありました。
・小売り5割減
・工業生産6割減
・旅客数99%減
・4月新車販売台数ゼロ
特に4月の新車販売台数ゼロについては、僕もかなりビックリしました。
こんな中国ですが、中国政府は、5月いっぱいでロックダウンを解除し、「6月末までに市民生活を全面的に正常化させる。」と発言しています。
ですが、本当にそうなるかはまだ推し量ることができませんし、もし再開したとしても、日本へ旅行客がやってくるのはまだまだ時間がかかるだろうと思います。
コロナ後のインバウンドのあるべき姿

ここからは僕の予想になりますが、外国人旅行客の多国籍化が進むと考えています。
特に東南アジアからの旅行客が急速に増えると思います。
現在、日本政府も中国からの旅行客が減ることを見越し、タイやシンガポールなど東南アジアの国々を中心に、オーストラリアやアメリカなど色々な国へ営業をかけているようです。
また、円安が進展していることや、旅行ができなかったストレスから来る『リベンジ消費』により旅行消費額はこれまで以上に増えるでしょう。
そして、今まで主流だった買い物などによる消費『モノ消費』から、貴重な体験の伴った消費『コト消費』へ大きくそして急速に変化していくと確信しています。
いずれにしても、大きく円安が進んだことにより、輸入品の値段が上がり物価上昇に苦しんでいる一方、輸出企業の製造拠点が海外に移転したことにより、輸出時の円安メリットを十分に享受できていない日本にとって、外国人旅行客、『インバウンド』の復活は、日本経済復活のカギになると思います。
コロナ再流行の観点から、あまり乗り気でない方も多いかとは思いますが、日本経済のためにみんなでインバウンド再開を盛り上げていきましょう。
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